地理
雲南省は中国西南国境に位置し、東西幅864.9キロ、南北幅990キロ、面積は39万平方キロメートルあります。行政区は8個の市、8個の民族自治州、11個の県レベル市、12個の市管理区、77個の非民族自治県、29個の民族自治県があり、総人口4,596.6万人(2010年現在)、首都所在地は昆明市です。雲南省東部は貴州省、広西省と隣り合わせ、北部は四川省と繋がり、西北はチベットへ通じ、西部はミャンマーと接し、南部はラオス、ベトナムと隣合わせています。全体的な位置から見ますと、北は広いアジア大陸に依存し、南はインドシナ半島を隔てインド洋と南シナ海に望んでいます。
東南季節風と西南季節風の2種類の季節風およびチベット高原の影響を受け、複雑で多様な自然地理環境を形成しています。雲南省内での海抜高低差の違いは大きく、もっとも高いところは徳欽県の梅里雪山の卡格博峰(約6,700m)にあり、最も低いところは河口県内南渓河と紅河の交差点(約80m)になります。雲南省内はイラワジ川、怒江(サルウィン川上流)、瀾滄江(メコン川上流)、金沙江(長江)、紅河、珠川という六つの名川があり、また滇池、洱海、撫仙湖、陽宗海、星雲湖、程海、瀘沽湖、杞麓湖、異龍湖という九つ高原の湖があります。瀾滄江は西部から全省を通し、下流はメコン川と呼び、ミャンマー、タイ、ラオス、ベトナムを通り、東洋のドナウ川と呼ばれています。紅河はベトナムに流れてホン川と呼ばれ、独龍江はミャンマーに流れイラワジ川に、怒江はミャンマーに流れサルウィン川となります。
国境線
雲南省はミャンマー、ラオス、ベトナムと国境を接し、国境線総延長4060キロに及び、ミャンマーとの国境線は1997.100キロ、ラオスとの国境線は 710キロ、ベトナムとの国境線は1353キロとなっています。国境線に位置するのは8個の州市、25個の県および市で構成されています。これら国境付近では15の少数民族が居住しています。ミャンマー、ラオスと隔て雲南省はタイ、カンボジア、バングラデシュ、インドなどの国と位置的に近い関係にあります。
気候
雲南省の首都昆明はハワイ島とほぼ同じ緯度に位置していますが、1,800mの高地にあり、夏は暑からず、冬は寒からず”常春”とよばれております。雲南省全体としては、熱帯、亜熱帯、温帯、高原気候など7つの気候帯に属し、南北間の海抜差が6663.6メートルもあることから、温度差は大きく、平均温度は5~24度前後になります。南北間の気温差が19度にも達していますが、ほとんどの地域は南バングラデシュ高圧気流の影響を受け、高原季節風気候となり、冬暖かく、夏涼しく、一年中春のような気候が特徴となっています。降水量が最も多いのは6月~8月の三ヶ月間で、年間降水量の約60%を占め、11月から翌年4月までは乾季となり、年間降水量は10~20%を占めています。雲南省独特な気候は、多種の農産物と経済産物の栽培、観光産業の発展等に、良い影響を及ぼしています。
歴史
2000年前、南シルクロードは四川から雲南を通しミャンマー、インド、と中央アジア、アラブ及びヨーロッパと通じていました。1世紀初期の“馬援古道” は雲南の南からベトナムに入り南海に達し、古代中国の外交に重要な役割を果たしました。古くから雲南は中国陸路とインド洋、東南アジアへ通じる窓口となっ ていました。雲南省は人類発祥地の一つでもあり、元謀で発掘した“元謀人”化石から雲南省で170万年前に人類がここで生息していたことが証明されました。長い歴史の中で雲南省には、豊富な歴史文化資産が残されています。五つの国レベル歴史文化名城(昆明、大理、麗江、建水、巍山)があり、その他、重点文化財保護区もたくさんあります。
少数民族
雲南は多民族の省でもあり人口の約1/3が少数民族です。イ族、ペー族、ハニ族、タイ族、チワン族、ミャオ族、リス族、回族、ラフ族、ナシ族、ワ族、チベット族、ヤオ族、ジンポー族、プーラン族、プミ族、ヌー族、アチャン族、デアン族、ジノー族、モンゴル族、トールン族、スイ族、満州族の25の少数民族が暮らしています。これは中国における少数民族の約半数に相当します。少数民族の自治による自治体も多く、手先の器用な少数民族による服製造業や加工業が盛んな地域もあります。