昆明最大の卸売センターの実態を聞く
拡大する一般消費市場
雲南省・昆明市最大の卸売センターである昆明螺螄湾国際商貿城市場は昆明の東南に位置し、市内より車で約30分程の距離にある。このショッピングセンターの計画用地の総面積は12000畝(118.8万平方メートル)であり、企画総建築面積は1000万平方メートル,東京ドームが212個収容できるほどの広大な面積だ。この卸売センター建設の計画総コストは350億元とのことである。この卸売りセンターの中にはいわゆる販売センターの面積は5705畝(56.4万平方メートル)であり、小商品加工区の面積が3000畝(29.7万平方メートル)、物流倉庫が同じく3000畝(29.7万平メートル)である。このショッピングセンターを建設したのは螺螄湾国際商貿城市場管理有限公司の親会社である雲南中豪貿易有限公司であり2008年5月に設立されている。同社は浙江省の義鳥商人が5億元投資して設立された設立された会社である。ここを管理する昆明螺螄湾国際商貿城市場管理有限公司、総経理・吴不丹氏に卸売センターの状況と一般向け消費市場について聞いてみた。この卸売りセンターは2009年12月に正式に営業を開始したが、その際、約1万5000社の企業が入社し、約7万人の雇用機会が創出されたそうである。センターの取扱い品目は日用雑貨、衣料品、皮革製品、工芸品、玩具、家電製品等の生活関連商品の卸販売から、小規模の生産加工受託業務、物流、植林緑化、ホテル経営など販売分野は多岐に渡っており、消費者のさまざまなニーズに対応しようとしていることが窺われた。3月10日にインタビューした時点ではこの昆明螺螄湾国際商貿城市場は2008年の昆明市の重点プロジェクトと位置付けられており、現在は延床面積は300万平方メートル、約2万3千社の企業が入居しており、好況を反映してか現在空き待ちの状態だ。
昆明螺螄湾国際商貿城市場 |
国境を越え周辺からも顧客を吸収
昆明螺螄湾国際商貿城市場は昆明市商圏に住む約730万人の生活を支える卸売りセンターであるが、それに加え特徴的なのは、近隣の四川省、貴州省、安徽省、江西省等の内陸部からの業者、それからミャンマー、ラオス、ベトナム等の南西アジア、東南アジアなど周辺国からも業者が仕入れに来るとのことである。このようにさまざまな地域から顧客を引き付ける理由として総経理・吴不丹氏は「この卸売センターは中・低価格の製品を大量に販売していることが広域に内外の顧客を引き付ける理由である。ここでは卸売りが中心であり、価格の高いものを取り扱っていない。」と言い切った。また業者の特徴として大量に安価なものを購入するというタイプが中心ということから、ここでも一般消費者の消費レベルは上昇しており、ここも例外ではないそうだ。この卸売りセンターの訪問の後、市内の外資系スーパーマーケット・カルフールを訪問したが、そこには昆明の居住者の消費レベルの高さを検証するかのように多数の買い物客で賑わっており、中~高所得者も増加しているとの印象をうけた。雲南省は今後カルフールの状況から窺われるように安価な製品の大量販売だけでなく、こういった高額所得者層をターゲットとするマーケットの厚みが増すだろう。ちなみに総経理である吴不丹氏に収入をきいたところ、年間給与は税引きで200万元、税引き前で300万元とのことであった。
昆明螺螄湾国際商貿城市場 | カルフール |
少ない日本企業のビジネス展開の動き
日本企業の雲南投資の動きについて吴不丹総経理は、「雲南省は加工、植物、農業、鉱物資源、旅行が主要産業であるが日本企業の動きはほとんどみられない。台湾企業の動きは少しはみられるが、全体的に外国企業全体の動向はそれほど活発ではない。」などと、外資投資は低調と見ている。しかしその情勢に反して多くの中国人ビジネスマンがここ昆明から商品を調達し、ミャンマー、ラオス、ベトナム等で大量に販売するビジネス戦略を積極的に展開している点で今後、経済情勢の変化にどのように対応していくのか注視していきたい。さらに同総経理は雲南の労働力に対する見方として、「雲南省は気候も良く、当地の従業員はもともと苦しい作業に挑戦するという気概がない。このような従業員をうまく使うポインとして従業員の訓練、研修に注力すること以外はない」と言い切った。その対策として同総経理は昆明螺螄湾国際商貿城市場管理有限公司の従業員を再教育するための研修専門学校設立を決定しており、現在建設中とのことであった。また日本企業同様に従業員のレベルに応じて給与を決定しており、単に従業員の効率性とか現場での実績のみではなく、従業員の勤務期間等も加味するなど貢献度を重視した給与査定を行っており、日本的経営に近いものが感じられたことを強調しておきたい。
(JYFA経済企画室長 藤原 弘)